オプティミストはなぜ成功するか
マーティン・セリグマン
出版社: 講談社(文庫)
発行年: 1994
米国大統領、成功したスポーツ選手に共通すること。それは、彼らがオプティミストだということだ。楽観主義は才能や意欲と同じくらい重要な成功要因で、学習すれば身につけることができる。考え方を変えれば人生は変わる。現代心理学に革命をもたらした画期的思考法、オプティミズムを科学的に説き明かす。
〔目次〕
オプティミスムとは何か ( 人生には二通りの見方がある / なぜ無力状態になるのか / 不幸な出来事をどう自分に説明するか / 悲観主義の行きつくところ / 考え方、感じ方で人生が変わる ) / オプティミスムが持つ力 ( どんな人が仕事で成功するか / 子供と両親:楽観主義は遺伝するか / 学校でよい成績をあげるのはどんな子か / メッツとビオンディはなぜ勝てたか / オプティミストは長生きする / 選挙も楽観度で予測できる) / 変身:ペシミストからオプティミストへ ( 楽観的な人生を送るには / 子供を悲観主義から守るには / 楽観的な会社はうまくいく / 柔軟な楽観主義の勧め )
〔本文の一部紹介〕
私はオプティミスト(楽観主義者)とペシミスト(悲観主義者)の研究を二五年間続けてきた。ペシミストの特徴は、悪い事態は長く続き、自分は何をやってもうまくいかないだろうし、それは自分が悪いからだと思い込むことだ。オプティミストは同じような不運に見舞われても、正反対の見方をする。敗北は一時的なもので、その原因もこの場合にのみ限られていると考える。そして挫折は自分のせいではなく、その時の状況とか、不運とか、他の人々がもたらしたものだと信じる。このような人々は敗北にもめげない。これは試練だと考えて、もっと努力するのだ。
挫折の原因をこれら二つのうちどちらの見方でとらえるかによって結果が違ってくる。実際に数百例におよぶ研究により、ペシミストのほうがあきらめが早く、うつ状態におちいりやすいことが証明されている。これらの実験はまた、オプティミストのほうが学校でも職場でもスポーツの分野でも、よい成績をあげることを示している。オプティミストは適性検査においても常に予想よりも高い点を取るし、選挙に出れば、ペシミストよりも当選する可能性が高い。通常健康状態も良好で、上手に年を取り、成人病にかかる率もかなり低い。平均よりも長生きするという推測さえも根拠のないものではない。
私は何十万人もの人々をテストしてみて、驚くほど多くの人々が悲観主義に深く染まり、そのほかにも深刻な悲観主義的傾向にある人々がかなりの割合を占めていることを知った。自分がペシミストであるかどうかを知るのはそれほど簡単ではなく、自分でそれと知らずに暗い人生を送っている人も少なくない。自分では少しもペシミストだとは思っていない人々のスピーチから、テストによって悲観主義のかすかな形跡を発見することができる。他の者たちもこの形跡を感じ取って話し手に否定的な反応をすることも、テストによってわかっている。
悲観的な態度は非常に根深いもので一生変わらないように思えるかもしれない。しかし、私は悲観主義から逃れることが可能なのを知っている。事実、ペシミストはオプティミストになることができる。ハッピーなメロディーを口笛で吹くとか、おまじないを唱えるなどの方法ではなく、新しい認知の方法を一通りマスターすることでそれが可能になるのだ。この方法は実験室や心理学者・精神科医のクリニックで発見され、その効果は実証されている。
この本は、読者が自分や家族、友人に悲観主義的傾向があるかどうかを発見するための手助けをするものである。また今までに何千人もの人々を、悲観主義やその延長にあるうつ病から救ってきた方法も紹介する。読者は挫折を今までとは違った見方で見ることができるようになるだろう。
